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【教育関係者必見!】斎藤孝著『新しい学力』を紹介します。【読書日記】

こんにちは。こんばんは。


テレビでもおなじみ,明治大学教授の斎藤先生が書かれた,高大接続改革関連の本です。
実は斎藤先生の本は初めて読んだのですが,やっぱりタレントさんではなく教育研究者なんですね~
骨太な教育論が展開されています!


タイトルにある「新しい学力」というのは,2020年度の大学入試から問われるようになり,次期指導要領で身に付けるべき学力のことです。
これに対し,これまで身に付けたり問われていた学力は,著書の中で「伝統的な学力」と呼ばれています。


この2つの学力を,斎藤先生は単に
「伝統的な学力」はダメだ!
みんな「新しい学力」を身に付けるぞ!
と言っているわけではありません。


現在の教育のよいところ・悪いところを冷静に分析し,
・悪いところは改善する
・よいところまで変えるのは損失になる
という論調で,次の課程以降にするべきことが書かれています。


やはりご専門の国語の例が端々に出てくるので,特に国語関係者は参考になると思いますが,数学が専門でも学ぶべき箇所はたくさんあります。
高大接続改革の当事者・関係者は必読です!
また,お子さんのいらっしゃる方も参考になるでしょう^^





それでは,中身を見ていきましょう~
読みどころの多い本で,ツイッターでも「読んだ。ためになった。」という方を結構見かけました。
最近のアクティブ・ラーニングへの動向にも影響を与えそうな1冊です。


特に役立った・ためになった3か所をご紹介します。
先ほどから連呼していますが(笑),教育関係者必携です!


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第1章 「新しい学力」とは何か




教育研究者である斎藤先生が,平成元年ごろから現在まで文部科学省,つまり日本が示した教育の流れをまとめた『資料』ともいうべき章です。
文科省の告示や答申がまとめられているパートなので,読むのはしんどいかもしれませんが資料として手元に置いておきたい内容です。


個人的な考えは排除し,客観的な事実関係を確認して,今後必要となる「新しい学力」が説明されているため,説得力抜群です。
文科省の告示・答申などは,すべて公開されてはいますが量が膨大なので,このようにまとめられていると非常に助かります。
この『資料』だけで,本代の価値がありそうです。


第4章 源流に学ぶ
でも,吉田松陰の松下村塾などが紹介されていたりして,いろいろな過去の実践事例も学べる1冊です。




意欲を引き出す二つのルート




これは
第3章 本当に求められているものは?
の1項目ですが,目からウロコでした!
普段からモヤモヤと思っていたことを,言語化してくれて頭の中がスッキリとした気分です!


高校数学において,なぜ勉強するのかということをきちんと伝えられたら,やる気もアップするだろうな~
でもすべての分野できちんと伝えるのは無理っぽいな~
と漠然と考えておりました。
それに対して,ズバリ応えてくれました!
以下は,本書からの引用です。



学ぶ意欲は二つのルートで形成されると思われる。
一つは,何らかの理由で学習の初期段階からその内容に興味・関心があり,自分から学びたいと思うルートである。
歴史ドラマを見て歴史に興味を持つ,惑星の図鑑を見て天体に興味を持つといったことがそれである。


この意欲を親や教師が上手く誘導し,上手にテキストを選び,励ましてあげれば,子どもたちは自然と正しく学んでいく。
これが「面白い!」から意欲につながるルートである。


もう一つの意欲へのルートは「できた!」が先行してから意欲がわくルートである。
はじめは上手くいかなくても,頑張って練習問題を解いているうちに,簡単な応用問題が解けるようになる。
二次方程式のグラフに最初から興味・関心を持ち,面白いと思う生徒は少ない。


※※※注:二次方程式のグラフ→2次関数のグラフ※※※


しかし,二次方程式のグラフを正確に描き,関数の最大値などが求められるようになると「できた!」と思うようになる。
できることが喜びになり,次の学習に対する意欲が生まれてくる。


斎藤孝著『新しい学力』

100%必要だと納得させて学習に入ることは可能だろうか?という疑問を持っていたのですが,氷解しました^^
個人的に大変ためになった部分です^^;
先生や,これから先生を目指すという人に役に立つのではないかと思います。




主体的な学習は,自習ではない




これはアクティブ・ラーニングにもろ手を挙げて賛成できないモヤモヤを,ズバリ言語化してくれた部分です。
以下は,本書からの引用です。



子どもたちにただ任せていれば主体的に学習が進むというような簡単なことではない。
それが簡単に進むのであれば,極端な話,全ての学校の全ての授業を自習にすればいいということにもなりかねない。
生徒が関心に基づいて時間を過ごす,先生はただそれを見ているだけ,というばかりでは,質の高い学習にはならないのは明らかである。主体的な学習の場を維持していくためには,一斉授業の場合以上にエネルギーを使い,準備することが教師には求められるのである。


子どもたちが自発的に主体的に学習するといえば聞こえはいいが,それを実現するには教師の高い教育力,そして教師集団の連携,学校全体で取り組む意欲など,様々な条件が必要となる。


斎藤孝著『新しい学力』

教師を目指す大学生を教えているだけあって,斎藤先生の求める教師像はレベルが高いですね。
しかし,上記のことは真実を語っています。
生徒に丸投げしても安定した学習効果は得られないでしょう。


上記の引用部分の数ページ後に,「では教師は何をするのか?」という問いへの答えが書かれています。
齋藤先生の厳しく,またリアルな教育観に触れると,学習項目を減らさず,アクティブ・ラーニングも導入するというのはちょっと無理なような気がしますが。。。
以下は,本書の引用です。



私は,教育の根本的な原理は「憧れに憧れる」関係性にあると考えている。
教師の何かへの強い憧れが学習者たちの憧れを喚起する。
教師が物理学を愛し,ニュートンやアインシュタインへの憧れを熱く生徒に伝えたとする。
生徒たちはそのすごさに目覚め,物理学を一層学びたいと思うようになる。
物理学という偉大な学問への教師の憧れが,学習者たちの憧れへと伝播していくのである。


斎藤孝著『新しい学力』



本書では
・2020年の大学入試改革をはじめとする,これからの教育改革
・「新しい学力」を身に付けるにはどうすればよいか?
ということを知ることができます。


斎藤先生の珠玉の教育論です。
「教育とは何か?」
という問いへの取っ掛かりとして,最適の1冊です!


ぜひご覧ください^^
それでは~


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