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【読書日記】松尾豊・塩野誠著『人工知能はなぜ未来を変えるのか』を紹介します。【チャプター4~エピローグ】

こんにちは。こんばんは。


対談形式の本である,松尾豊・塩野誠著『人工知能はなぜ未来を変えるのか』を紹介します。
当記事は,前回の記事の続きになります。
関連記事…【読書日記】松尾豊・塩野誠著『人工知能はなぜ未来を変えるのか』を紹介します。【プロローグ~チャプター3】




チャプター4,5,エピローグは,ざっくばらんに人工知能について語られています。
細かい仕組みが知りたいというより,ざっくりと「これからどうなるのか?」ということが知りたい人向けです。
さっそく,中身を見ていきましょう~


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チャプター4 ロボットに限界は必要か? ~すべての犯罪が記録される世の中に~




人工知能がどんどん進歩して,便利な世の中になっていくことは,ほぼ決まっているといっても過言ではないでしょう。
掃除機など便利な家電,自動運転,自動翻訳,……
これらは,近い将来当たり前になることでしょう。


このように人工知能が進歩することは,圧倒的に便利なことが多いですが,中には今より不便になることもあります。
これは避けようがありませんね。
チャプター4では「どうやって向き合うか?」ということが議論されています。


これまでは,何となく見過ごされてきたこと,ということはたくさんあります。
たとえば,スピード違反などです。
罰金を払ったことがある人は,「運が悪かった;;」と思いましたよね^^;


近い将来,監視カメラなどで違反があれば即座に逮捕,取り締まりということも可能になってきます。
しかし,それは本当に良いことでしょうか?
他にも,次のような例もあります。



MATSUO
相撲の場合,七勝七敗の力士と八勝六敗の力士が千秋楽で当たると,高い確率で七勝七敗のほうが勝つ。
自分はもう勝ち越していて,相手はまだわからない。
ここで明示的かどうかは別として,負けてあげるという言い方をさせてもらうと,その気持ちが働く。
負けてあげた力士が翌場所に同じ相手と対戦すると,逆に高い確率で勝つんですね。


データで見ると明らかにそうなっていて,それまでの対戦成績から考えられる確率をかなり逸脱しています。
ということは,星を貸して返してもらっていることがデータから見えてしまうわけです。
いまの制度では明示的な証拠がないと,罪として問えないと思いますが,データからは見えてしまいます。


松尾豊・塩野誠著『人工知能はなぜ未来を変えるのか』

また,チャプター4では,自動運転についても議論されています。
今現在,ちょっとした判断ミスで大事故が起こったというニュースは結構な頻度で見ます。
自動運転になると,このようなニュースはどんどんなくなっていくことでしょう。


しかし,この自動運転に関しても心配はあります。
もし自動運転の車が事故を起こし,人を轢いて亡くなってしまった場合,だれが遺族に対して責任をとるのかという問題があります。
社会全体でしっかりと考えなければいけない問題ですね。


自動運転の話の流れで,1票の格差や,命の重さの話へ展開していきます。
このあたりも,私たちは普段あまり考えないように,触れないようにしてきたことですが,人工知能の進歩に伴いデータとして突きつけられる事柄です。
「あなたの選択は,子どもは住みやすくなるが老人には不便になる」ということが明示されるようになるかもしれません。
そのことに向き合うということも,想定しておいた方がよいかもしれません。


そんなこんなで,チャプター4では人工知能や社会全体が進歩するとどんなことが起こるか?
ということについて議論されています。
重い内容の個所もありますが,対談を聞くようにサッサッと読めます。




チャプター5 身体と学習,教育の役割 ~もう公教育は必要ない~




タイトルからも明らかですが,チャプター5は教育についてです。
・この先,教育も大きく変わる
・教育は平等になるか?
・機器が発達する中で,優秀な人とはどういう人か?
ということについて議論されています。


少し長いですが,数学について議論されている箇所を抜粋します。



MATSUO
とくに数学なんかは典型的で,できる人とできない人がはっきりしています。
それで理系と文系が決まっているようなところがあると思いますが,人の能力などそれほど変わりませんから,どうして「1」か「0」かで分けてしまっているかというと,おそらくリカバーが利きにくい科目という一点にあると思います。


リカバーが利きにくいと,結局は授業に付いてこられた人,付いてこられなかった人の二種類に分かれるしかないのですが,付いてこられなくなったところからやり直すとか,違う教え方をするとか,その人の進捗に応じて次の段階を理解できる確率を高めていけばいいわけです。
理解できなくなったところを反復する仕組みとして,コンピューターとウェブによる学習が提供できれば,数学ができる,できないという二極化した世界ではなくなるはずです。


SHIONO
それは朗報ですね。
数学の場合,この学年ではここまで理解しなければならないという設定が,できるかできないかを判断する基準になっていると思います。
ここは数学に限らない話ですが,小学校の早い段階での学習の進捗度は,早生まれ,遅生まれによってかなり影響されてしまいます。
早生まれか遅生まれで,だいたい中学校の受験結果は決まるといった話さえある中で,コンピューターとウェブでの学習が広まれば,学年という概念がなくなって,その人向けに完全にパーソナライズされた教育も可能になりそうです。


松尾豊・塩野誠著『人工知能はなぜ未来を変えるのか』

現在では,理解できていなくても授業はどんどん進み,数学が嫌いになっていく……
という事実があります。
立ち止まって,しっかりと理解してから次に進む…ということができれば,数学をそんなに嫌いにはならないのではないでしょうか。


「学年」や「学校」というものが変わっていくかもしれませんね。


また,ウェブの発達により,誰でも質の高い教育が受けれるようになっていくということも,いずれ実現することでしょう。
このことにより,全員の成績が上がり差がなくなる,,,ということにはならず,本人の努力によって理解度は変わってきます。
経済的な理由などで教育の機会がなかった人たちにも,安価で高度な教育が受けられるようになることは,手放しで良いことのように思います。


最後に,機器の発達と教育との関係について議論されています。
単に,年号などを記憶するよりも,歴史をストーリーとしてとらえる方が意義が深い気がします。


今でも,スマホがあれば知りたいことが割とすぐに調べられますが,将来的には瞬時に知りたいことにアクセスできるようになるかもしれません。
そうなったとき,学力とは何か?どのような考え方をする人が社会の役に立つのか?ということについて議論されています。
スマホで調べて答えられるような試験を解くことに,どれほど意味があるのか?という議論は,今でもあちこちでされていますね。


人工知能に仕事が奪われる!といった記事を目にします。
人間として何を伸ばせばよいか?ということを考えることは,決して無駄にはならないでしょう。


以上のような話がチャプター5でされています。
教育界は,次期指導要領改訂や高大接続改革など変革のときを迎えています。
黒板と教科書とノートだった学習ツールも大きく変わっていくことでしょう。


社会で必要な人間とは?
刻々と変わる状況に対して,一人一人がこの問いに向き合う必要性が増してきつつあると言えるでしょう。




エピローグ 未来はそこまでやってきている




現在と未来というのは,明確に分けられるものではありませんね。
今現在,人工知能の研究の競争は熾烈を極め,各国,各企業がしのぎを削っています。
エピローグでは,現在の人工知能を取り巻く環境について書かれています。


今は,アメリカやカナダ,グーグルやフェイスブックがリードしている状況だそうです。
しかし,日本もそれなりの環境が整っているそうで,完全に後れを取っているわけではないそうです。
将来,人工知能関連の道に進もうと考えている学生さんには,有力な情報が満載です。


ということで,エピローグはこれから日本はどう進めばよいかということが議論されて,本書は終わります。




以上で本書の紹介を終わります。
対談形式なので,スムーズに読み進められると思います。
しっかりと読み込みたいという人より,流し読みがしたい人向けかもしれません。
1冊を読み終わるのに,そんなにかからないと思いますので,時間のない人にオススメです!


それでは~


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