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【読書日記】結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』を紹介します。【第2弾:3~4章】

こんにちは。こんばんは。


『数学ガール』の著者としておなじみの,結城浩氏の著書『数学文章作法(さくほう) 基礎編』を紹介します。
当記事は,前回の記事の続きになります。
関連記事…【読書日記】結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』を紹介します。【はじめに~第2章】


はじめに~第3章までは,『(一般の)文章作法 基礎編』です。
ここまでに数学の要素はあまりありません。


第4章~は,「数学」文章作法についての内容となっています。
数学を題材にしていますが,「(わかりにくいものを)読者に分かりやすく説明する」というコンセプトが根底に流れていますので,あなたが書きたい文章に応用できると思います。



当記事では,第3章~第4章を紹介します。
前回は心構えや基本の型の話だったのですが,今回からだんだんテクニックの話になってきます。
わかりやすい文章とはどんなものなのかを,実例を交えて把握できます。
それを自分で書けるように,また過去記事をブラッシュアップできるように身に付けたいものですね。
それでは,中身を見ていきましょう~


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第3章 順序と階層




第3章までは,一般の文章作法の話です。どのような文章にも適用できる重要なことです。


大きな塊の文章を読むのは,読者にとってシンドイことです。
小さく区切った文章の方が,読みやすい=分かりやすい文章と言えます。


階層


小さく区切るとき,順序や階層が重要になってきます。
順番が途中で入れ替わったり,同じ階層なのに文章の重要度が異なれば理解しづらいですよね。
詳しくは本書をご覧ください。
いろいろな例を交えて,詳しく説明してくれています。


私が特に「これはした方がいいな~」と思うことは,次の2つです。



項目の列挙では,個数も書くとしっくりきます。


列挙だけの例
一つのサイコロを投げたときに出る目は,1,2,3,4,5,6のいずれかになります。


列挙と個数の例
一つのサイコロを投げたときに出る目は,1,2,3,4,5,6という6通りのいずれかになります。


上の例では「6通り」という言葉を追加しています。


(中略)


このような,一つのものを複数の方法で表現した文章を読んだ読者は,自分の理解を無意識のうちに確認しながら先へ進むことになります。
これは「自分は正しい道を歩いているな」という安心感につながり,読書の意欲を増す効果があります。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

…納得ですね~
確かに!
これは,今後意識したいポイントです^^


次はパラレリズム(対比)についてです。



パラレリズムとは,内容的に対比させるものを形式的にも対比させる技法です。


(中略)


悪い例:パラレリズムを使っていない
メソッドはクラスの性質を定めますが,フィールドもそうです。
「情報を保存する場所」がフィールドであり,変数のようなものです。
メソッドは関数に相当し「情報を処理する方法」といえるでしょう。


上の例ではメソッドとフィールドという二つのものを説明していますが,ごちゃごちゃして明確ではありません。
これは,内容的に対比すべき点を形式的に対比させていないからです。


改善例:パラレリズムを使う
クラスの性質は,フィールドとメソッドで定まります。
フィールドは「情報を保存する場所」であり,メソッドは「情報を処理する方法」です。
フィールドは変数に似ており,メソッドは関数に似ています。


上の改善例では,文章を使って以下のような対比を表現していることになります。
フィールド  情報を保存する場所
メソッド   情報を処理する方法


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

ここまでの,はじめに~第3章を実践することで,文章が大幅に改善されそうです^^
ここまでは,どのような文章にも当てはまる,全般的な内容でした。


第4章以降は,「数学の文章」色が強まります。
個人的には,非常に役に立つ,まるで個人レッスンをしてくれたような内容でした!
数学以外の文章を書く場合も,数学をあなたの専門分野に読み替えて応用することが可能だと思いますので,ご覧いただいて損はないと思います。




第4章 数式と定義




第4章からは,「数学」文章作法の話です。
私にとっては即実践するべき内容でした。
数学の問題・解説を書いている人には,まさに「教科書」のような内容です。


いろいろな例を挙げて説明してくれています。
その中で,私が「これは取り入れよう!」と思ったものを,ざっと挙げます。
まずは,二重否定から。



二重否定を避ける
二重否定を避けましょう。


悪い例:二重否定を使っている
等式f(x)=0を満たさない実数xは存在しない。


上の例では「満たさない」と「存在しない」という二つの否定が重なっており,文の意味がわかりにくくなっています。
下の例のように修正すれば,二重否定を避けて同じ主張を表現できます。


改善例:二重否定を避けている
任意の実数xに対して,等式f(x)=0が成り立つ。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

改善例の方が明らかに読みやすいですね^^
次は,概念と用語について。



異なる概念には異なる用語を使う
異なる概念には異なる用語を使いましょう。


例:異なる概念に同じ用語を使っている
1から9までの数を使って3桁の数を作ります。
いったい何通りの数が作れるでしょうか。
同じ数を何度使ってもかまいません。


上の例では,
使うもの 1,2,3,…,9
と,
作るもの 111,112,113,…,998,999
という二つの概念の両方に「数」という同じ用語を使っています。
悪いとまではいえませんが,以下のようにした方が読者の混乱は少ないでしょう。


改善例:異なる概念に異なる用語を使っている
1から9までの数字を使って3桁の数を作ります。
いったい何通りの数が作れるでしょうか。
同じ数字を何度使ってもかまいません。


上の改善例では,使うものに「数字」,作るものに「数」という用語を使っています。
「1から9までの数字が書かれたカードがたくさんあります」のように「カード」という新たな用語を導入する方法もあります。
結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』


改善例の方が親切です^^
次は,メタ情報についてです。
メタ情報とは,「情報についての情報」という意味です。



文字に対するメタ情報
文字にはメタ情報を付けましょう。


悪い例:メタ情報がない
PC上にあるとしよう。


上の例では,PCという二つの文字が書かれていますが,それが何を意味しているかはわかりません。


改善例:メタ情報がある
Pは曲線C上にあるとしよう。


上の例では,「P」や「曲線C」のように明記されていますので,文字の意味を読者は自然に読み取ることができます。
ここでは「点」や「曲線」がメタ情報です。
結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』


読者目線で文章を書くことの大切さがわかります。
ついつい省略してしまうというか,無意識に書いてしまいがちなところですね^^;


本書の序盤で,「神は細部に宿る」という表現が紹介されています。
すみずみまで気を付けて,文章を書きたいものです。




最後に,問題を解くことと,数学の文章を書くということは違う,というについて触れたいと思います。
「第4章 数式と定義」で,ただ数式を羅列しただけでは読者に伝わらない,ということが書かれています。
接続詞を適切に用いて,文章を構成するべきだと説明されています。


数学文章作法としてはその通りです。
が,高校生などの学生さんが問題を解くときに,1題1題丁寧に文章を書く必要はないと,私は考えます。


答えは出せるのに,解答の表現の仕方で迷う,,,というのは本末転倒です。
論理の流れを理解して,途中計算をしっかりすれば,表現は二の次でよいと思います。
『数学文章作法』は読者に文章を読ませる人向けの本なので, 学生さんが読む本としては『数学ガール』をオススメします。


ただ,もしかしたら,先生に「日本語をきちんと補って解答を書きなさい」と言われて困っている学生さんもいるかもしれません。
そのような学生さんは,本書『数学文章作法』の第4章をサラッと読んでみてください。
日本語をきちんと使った解答の書き方がよくわかります。




当記事は,この辺りでいったん終わります。
次は第5章~の「読書日記」です。


当記事をまとめると
第3章・・・文章は細かく区切った方が読みやすい。階層や順序に気を付ける。複数の方法で表現すること,対比させて書くことと読者にとって読みやすい文章となる。
第4章・・・読者目線で分かりやすい文章を書く。(二重否定は避ける,異なる概念には異なる用語,メタ情報を付ける)


本書は,多くの示唆を与えてくれる良書です。
文庫の中でも薄い部類に入り,気軽に読めますが,多くの気付きがあります!
文章を書く人には,強くオススメします!


それでは~


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