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【読書日記】結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』を紹介します。【第3弾:5~8章】

こんにちは。こんばんは。


『数学ガール』の著者としておなじみの,結城浩氏の著書『数学文章作法(さくほう) 基礎編』を紹介します。
当記事は,次の記事の続きになります。
関連記事…【読書日記】結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』を紹介します。【第2弾:3~4章】


はじめに~第8章までで構成される本書の,最後の「読書日記」となります。
・第5章 例
・第6章 問と答え
は特に,私にとっては重要な内容です。
本書を教材づくりの最中,何度も読み返すことになるでしょう^^;
「教える人」にとっても,即現場で使える内容となっています。


・第7章 目次と索引
は,特に「書籍作り」のときに重要となりそうな内容ですが,私は本を出版する予定がないのでサラッと読みました。
・第8章 たったひとつの伝えたいこと
は,はじめに~第7章までのまとめとなっております。
本書では,「読んで学んだこと」を各章の最後にまとめるスタイルが貫かれています。
第8章全体で本全体のまとめをし,本書は終了します。



第5章,第6章は,私にとって重要な内容だったので,特に引用が多い記事となっていますが,お付き合いいただければ幸いです。
それでは,中身を見ていきましょう~


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第5章 例




さっそく引用します^^;



読者は例で納得します。
抽象的な説明が続くと読者は「具体的にはどういうこと?」と疑問に思い,具体的な例が示されて「ああ,そういうことか」と納得するものです。
ですから,説明文に例を書くことは重要です。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

これも,《読者のことを考える》ことの一環といえますね。
一通り説明して,ハイ終わり,,,では,読者が置き去りになっている可能性があります。
例が示されると,一気に理解できた!ということは日常生活でもよくありますね^^


この章では,良い例とは?悪い例とは?ということが,例を交えて説明されています。
その中で,特に読者の理解に役立ちそうだな~というのが,次の引用部分です。



あてはまる例とあてはまらない例
 自然数abの最大公約数が1に等しいとき,「abは互いに素である」という。
たとえば,12と7の最大公約数は1に等しいので,12と7は互いに素である。
一方,12と8の最大公約数4は1に等しくないので,12と8は互いに素ではない。


上では,「互いに素」に関して二つの例を挙げています。
互いに素である例(12と7)と互いに素ではない例(12と8)です。
前者は「あてはまる例」で,後者は「あてはまらない例」といえるでしょう。


互いに素である例(あてはまる例)をたくさん挙げても悪くはありませんが,互いに素ではない数の例(あてはまらない例)を挙げると読者の理解を助けます。
コントラストが強い写真のように,説明したい概念がくっきりと浮かび上がるからです。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

最後は,「例を挙げる」ことは読者のためのみならず,著者のためにもなる!という話です。
これは,「教える」ということは教えてもらう人だけにメリットがあるわけではなく,教える人にもメリットがある!という話に似ています。


本書では,《例示は理解の試金石》という金言を紹介してくれています。
話が逸れますが,本書には金言がたくさん登場します。
・正確で読みやすい文章を書く原則は,《読者のことを考える》
・「神は細部に宿る」
・《例示は理解の試金石》
このあたりからも,本書が良書であることがうかがえます。


では,《例示は理解の試金石》というスローガンが出てくる箇所の引用を見てみましょう~
《例示は理解の試金石》は,『数学ガール』に出てくるスローガンのようです。



自分の理解を疑う
 良い例は良い理解から生まれます。
もしも良い例が作れないなら,自分の理解を疑いましょう。


 例は嘘をつきません。
ある説明についての良い例が作れないとき,自分の理解が足りない場合もありますし,説明が誤っている場合すらあります。


書籍『数学ガール』には《例示は理解の試金石》というスローガンが登場します。
このスローガンをわかりやすく言い換えるなら,


   自分が理解しているかどうか試したかったら,
   例を作ってみよ。
   例を作れたなら,あなたは理解している。
   例を作れないなら,あなたは理解していない。


となります。
例は,自分が「理解しているかどうか」をテストする試金石といえるでしょう。


 自分の理解が足りないのに,読者に理解してもらう文章を書くことは不可能です。
「良い例を作れるくらい,自分はこの概念を理解しているだろうか」と自問しましょう。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』



第6章 問いと答え




この章では,適切な問いと答えが読者の理解をうながすことについて書かれています。
詳しくは本書をご覧ください。
『数学文章作法』からは逸れますが,私も日ごろ残念に思っていたことを,結城氏が指摘してくれています。



 ところで,問題に対する解答が書かれていない数学書をしばしば見かけます。


 解答が書かれていないと,読者は自分で問題を解いた後「答え合わせ」ができません。
自分一人で「これで正解だ」と確信するか,教師に「これで正解か」と改めて確認する必要があります。


 解答を書かないのは著者の自由ですが,読者,特に独学している読者にとっては非常につらいことです。
長い時間を掛けて問題に取り組んだ後,解答が書かれていないのを知った読者はがっかりするでしょう。


 解くためのヒントか,参考文献への参照か,問題の難易度か,せめて「解答が書かれていないこと」を出題箇所に明記してほしいと思います。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

これは,私もそう思います。
解答だけでなく解説も充実した数学書ばかりになるといいですね。


次の引用からは,『数学文章作法』の中で確かにそうだ!と思ったものをピックアップします。
やはり,《読者のことを考えた》問いと答えが,よい文章につながります。



否定形を避けて問う
 できるだけ否定形を避けて問いましょう。


悪い例:否定形での問いかけ
 それでは,x2≧0を満たさない実数は存在するのでしょうか。


上の例では「満たさない実数」のように否定形を使っています。
このような問いでは,読者は一瞬「うっ」と考えに詰まります。
これは,以下のように改善できます。


改善例1:否定形を避けた問いかけ
 それでは,どんな実数でもx2≧0を満たすのでしょうか。


 上の改善例1では,「~を満たさない実数は存在するか」という問いを「どんな実数でも~を満たすのか」という問いに変換しています。
否定形がない方が問いを素直に読むことができますね。


 以下のように条件式を書き換えても良いでしょう。


改善例2:否定形を避けた問いかけ
 それでは,x2<0を満たす実数は存在するのでしょうか。


 上の改善例2では,条件式をx2≧0からx2<0に書き換えて否定形を避けています。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

「第4章 数式と命題」でも,二重否定を避けるという話題が出ました。
避けられるのなら避けた方がよさそうですね。
次は,無用な混乱を避けるという話題です。



混乱を避けて問う
 読者の混乱を避けて問いましょう。


悪い例:読者の混乱を誘う
 問い:次のうち素数はどれか。


(1) 2
(2) 3
(3) 4
(4) 5
(5) 6


 上はひどい例ですね。
項目の番号と提示されている数が互いに干渉して答えにくくなっています。
ちなみに素数は「(1)の2と,(2)の3と,(4)の5」です。


 ところで,上の例の悪い点はそれだけではありません。
2,3,4,5,6の中に素数は複数個あるのに「素数はどれか」とだけ尋ねています。
答えが複数個ある場合には「すべて選べ」のように表現すべきです。


 以下のように改善しました。


改善例
 問い:次の中から素数をすべて選べ。


   1 2 3 4 5 6


先ほどの悪い例ではなぜか1を除外していましたが,上の改善例では,1も加えることにしました。
その方がシンプルだからです。


 場合によっては「1以上6以下の整数の中から,素数をすべて選べ」のようにしてもいいですが,上の改善例のように列挙した方が読者が考えやすいでしょう。


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』

ひっかけ問題,イジワル問題,,,いろいろ呼び方はありますが,学習の場面ではこのような問題は不要ですね。
テレビなどのエンタメには必要かもしれませんが。


この章の最後に,問いと答えは対話であるという文章を引用します。



 問いがあり,それに対応する答えがある。
つまり,問いと答えは小さな対話です。


 対話があると,文章は生き生きします。
対話を通して読者は文章の躍動を感じ,自分の理解を一歩一歩確かめながら進むことができます。
読者は小さな「なるほど」を積み重ね,やがて大きな「なるほど」に至ります。
問いと答えを通して,読者は文章全体を深く理解できるでしょう


結城浩著『数学文章作法(さくほう) 基礎編』



第7章 目次と索引,第8章 たったひとつの伝えたいこと




第7章はサラッとしか読んでいないため,サラッと書くに留めます^^;
書籍作りに興味のある人は,ぜひ本書をご覧ください。


目次や索引を俯瞰すると,文章の構成が把握できます。
「第3章 順序と階層」のチェックができる,とも言えます。
ブログ記事を書くときも,タイトルをチェックすることで文章が正しく構成でき,読みやすい記事になるでしょう。


第8章は,本書の総まとめとなっています。
このようなまとめがあると,自分の中でしっかりと整理ができ,深く身に付く感覚があります。
基本的にはタイトルなんかをみて,「タメになるだろうな」と思って文章を読みますよね。
そんなとき,最後にまとめがあると「読んでタメになった・よかった」と実感できます。




以上で,本書『数学文章作法』の読書日記が終了となります。
今回の記事をまとめると,
第5章・・・良い例は読者の理解を深める。また,著者にとっても《例示は理解の試金石》となる。
第6章・・・問いと答えは対話である。読者には良い問いを投げかけるべき。
第7章,第8章・・・割愛


本書は,多くの示唆を与えてくれる良書でした。
文庫の中でも薄い部類に入り,気軽に読めますが,多くの気付きがあります!
私にとって,教材づくりで手放せない1冊となりました^^;
文章を書く人には,強くオススメします!


それでは~


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