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【新指導要領】主体的・対話的で深い学びの,「主体的」って,何?

こんにちは。こんばんは。


文部科学省が公表した学習指導要領改定案では,アクティブ・ラーニングという言葉は使われませんでした。
同省は「指導要領は広い意味での法令であり,しっかりした定義のない片仮名語はなかなか使えない」と説明しています。
その代わりに,改定案ではアクティブ・ラーニングが「主体的・対話的で深い学び」という表現に置き換わりました。


幼,小,中の次期学習指導要領は平成29年(2017年)3月31日に公示されました。
高校の次期学習指導要領は平成30年度末(2018年度末)(3月31日ごろ?)に公示される予定です。




当ブログでは,高校数学関連の
・アクティブ・ラーニング
・主体的 対話的 深い学び
を含むツイートをまとめた記事を毎月投稿しており,2017年5月現在で8記事がストックされております。


関連カテゴリ・・・アクティブ・ラーニング


ツイッターでよく議論になっているのは,「主体的」とは何か? です。
先生に「主体的」と認識されると,評価が上がるようになるのでしょうか。
本人は「主体的」に取り組んでいるつもりでも,先生や周りに主体的ではないと見られれば評価は下がるのでしょうか。


これはなかなか哲学的なテーマですね。
主体的かどうかを評価すべきか?評価すべきでないか?
ということも,議論に含まれています。


私個人の考えを最初に記します。
・主体性は過剰に評価すべきではない。評価は客観的なもの(テストの点数,提出物)などで行うべき。
・主体的であることを促す方が,主体性は伸びる。


つまり,
[主体的な学習をするように仕向けるが,主体性自体は過剰に評価しない]
という考えです。
皆さんはいかがでしょうか。


それでは,細かく見てみましょう~


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主体性を評価するメリット・デメリット




主体性が評価において結構な割合を占めるようになる,という前提で書き進めます。


主体的≒積極的


まず,率先して取り組む生徒,リーダー的な生徒は,主体的であるように見えます。
主体的≒積極的という側面がありそうです。


評価を上げようと考えることは自然なことなので,主体性を評価することにすると,全体的に積極的になろうとするでしょう。
これは悪いことばかりではなさそうです。
何事も積極的に取り組むと,何かしら得るものがあるでしょう。
ただし,もともとの性格で評価に差が出そうなので,公平さに欠ける気がします。


その主体性は,本物?


ここで,次のような疑問がわいてきます。
「規定された主体性は,本当の主体性か?」


純粋な主体性かどうかはともかく,「主体的に取り組んでいるように見える」生徒の評価も上がるでしょう。
演技力が評価に関わってくる可能性があります。
こちらも性格によって,うまくできる,そもそも演技できないなどの差が生じるため,公平さに欠けるでしょう。


さらに演技できることは,良いことばかりではないかもしれません。
人生において,必要に応じて演技をすることで有利な結果が得られることは,大いにあります。
逆に演技をしたことで評判を下げてしまうことも,また大いにあり得ます。
飾らず,等身大の自分で物事に取り組むことが,結局一番いいのかもしれません。


若干,話が逸れましたが,取り組む姿勢といったあいまいなものを評価することにすると,生徒にとってもデメリットが生じる可能性があります。


生徒が主体的に取り組んでいるかどうかを,客観的に評価することは難しいでしょうね。
さらに,評価する側の主観次第で,評価が変わる可能性があります。


つまり,


生徒が本当に「主体的」かどうかは,生徒本人にしかわからない
同じ生徒に対しても,評価する先生によって「主体的」かどうかの判断に差が出る

ということがあります。
単刀直入に表現すると,気に入った生徒の評価は高くなるだろう,ということです。


評価は公平に


評価される側が「公平ではない。。。不公平だ!」と思ってしまう評価は,しない方が良いでしょう。
不満が蓄積して,やがて爆発するかもしれません。


現在でも,主体的に取り組んでいるように見える生徒は,どちらかというと高評価を得る傾向があるでしょう。
前向きに取り組んでいることに対して,マイナスの評価はしないですよね。
進学や就職の際の面接で,積極的にハキハキと受け答えをすると面接官がよい点数をつけることでしょう。


ただし,みんながみんな主体的・積極的になることを目指した方がよいかどうかは別問題です。
人前で目立つことが嫌な人もいるでしょう。私も嫌です。
そんな人たちも,コツコツと能力を伸ばし,誰もまねのできない,世の中を変えるような便利なものを作り上げることがあります。
主体的・積極的でなくても,社会の役に立つ場合もあります。


以上が,私が[主体性自体は過剰に評価しない]方がよいと考える理由です。
なるべく公平な基準で評価した方がよいと思います。




主体的に学習するように仕向けるか否か




これからの社会と主体性


次の指導要領に「主体的」という文言が入った背景は,国際的な学力テスト・アンケート(PISA)の結果が関係あるようです。
我が道を行けばよい,という意見もあるでしょうが,せっかくデータをとっているのならそれを活かしたいところです。


学力テストの結果がよい方が生活の満足度が高い,という傾向があるそうです。
(当然のことと思いますよね。だけど,そうだろうと思うことと,データからそうだと確定することは違うので,これは価値のある分析です。)
国際的な調査なので,世界の中で東アジアの国々の生徒は全体的に引っ込み思案な傾向があるということもわかるそうです。


今後ますます国際化・ボーダーレス化が進む社会において,世界を相手にするためにはより主体性が重要だという主張は納得できます。
主体的に学習する方が学力は上がる→生活の満足度も上がる
ということもあり,「主体的」という文言が指導要領に入るようになりました。


主体的な授業


現在の授業のスタイルである講義形式は,やはり受け身のイメージがあります。
これに動きを加えるだけでも,主体的な度合,主体度は上がるでしょう。


また事実として,見て聞くだけより,書く・口に出す・身振りを加える方が,記憶として定着することが確認されています。
いすに座っているだけでは,主体的な気にはなりにくいです。
実際に体を動かすと,主体的な気がしますよね。


黒板・チョーク・紙の教科書・ノート・鉛筆といった教具も,近い将来デジタル機器に置き換わるでしょう。
そのような側面からも,現在の授業のスタイルは変わっていくはずです。


待つか,促すか


一方,斎藤孝『新しい学力』では次のような記述が出てきます。



第二次世界大戦後の焼け野原から立ち上がり,世界第二位の経済大国にまで成長を遂げ,同時に平和で民主的な社会を作り上げてきた人々の中心は,戦前の教育を受けた世代の人たちであった。
個性や主体性とはかけ離れた教育を受けたようにみえる人たちが,昭和二十年代,三十年代に,爆発的な学習意欲を示し,これまた「問題解決」を成し遂げた。


斎藤孝著『新しい学力』

同じような話で,小説の方が,漫画,アニメより想像力が増す,という意見もあります。
小説には場面の「絵」がないので,自然と想像しますよね。
一方,漫画やアニメでは「絵」が目に飛び込んでくるので,場面の想像はあまりしません。


しかし実際には,映像は進歩し,想像力も増しているように思いますがいかがでしょうか。
全体的に,現代人の方が想像力は大きい気がします。
多くの場面を見ることで,それが基礎知識となり応用力が増すのではないでしょうか。


同じように,主体的に学習するように仕向けた方が主体度は増す,ということが考えられます。
整っていない環境でも,主体的に学習する人はいるでしょう。
だけど,環境を整えればさらに主体度は増える,ということは自然に考えられることです。


以上が,
[主体的な学習をするように仕向けるが,主体性自体は過剰に評価しない]
と考えている理由です。


本来なら,伸ばしたいものは評価するべきなのですが,「主体性」という判断しづらいものが対象なので,このような考えに至っています。
「主体性」と「義務」は相容れないものなので,うまくバランスをとる必要があるでしょう。
やはり,「主体性」を犠牲にしても身に付けるべきことは少なからずあります。




最後に,記事でも引用させていただいた,斎藤孝著『新しい学力』を紹介します。
とりわけ,これから先生になりたいと考えている人には参考になる部分が多いと思います。
タレントさんではなく,何人もの先生を輩出している明治大学教育学部の教授としての教育論が読めます!


次の部分なんかは熱いですね!
未来の先生におススメします。



私は,教育の根本的な原理は「憧れに憧れる」関係性にあると考えている。
教師の何かへの強い憧れが学習者たちの憧れを喚起する。
教師が物理学を愛し,ニュートンやアインシュタインへの憧れを熱く生徒に伝えたとする。
生徒たちはそのすごさに目覚め,物理学を一層学びたいと思うようになる。
物理学という偉大な学問への教師の憧れが,学習者たちの憧れへと伝播していくのである。


斎藤孝著『新しい学力』


それでは~


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