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【新大学入試】数学の問題はどのように変わるべきか?

こんにちは。こんばんは。


2017年5月16日に,独立行政法人 大学入試センターから『大学入学共通テスト(仮称)』における国語・数学の記述式問題のモデル問題例が公開されました。
今後,大規模プレテストを数回行い,内容を確定させるようです。


モデル問題例の画像と,内容に関するちょっとしたコメントを付けた記事を投稿しております。
関連記事・・・「大学入学共通テスト(仮称)」の数学記述式問題のモデル問題例


数学は,配点の軽重はありますが次の3パターンがモデル問題として公開されました。
(1)座標平面上の点が動いたときの四角形の面積
(2)2辺とその間ではない角がわかっているときの三角形が存在する条件
(3)台座の上の銅像をうまく写真に収めるための考察


ざっと要約すると,次のようになりそうです。
(1)これまでと同じ,普通の数学の問題
(2)一部に問題を解くための方針を答えさせる問題もあり
(3)場面設定が日常の一場面であり,一部に確かめる方法や関係式を答えさせる問題もあり


これからの傾向としては,(3)タイプの問題(モデル問題例4)が増えるのでしょう。
2017年3月に公示された幼・小・中の次期学習指導要領でも,学校の勉強と日常生活をより関連させるようにといった旨の記述が目立ちます。


以前から,無理やり日常に関連させることに違和感を覚えており,次のような記事を投稿しました。
関連記事・・・数学で学習する抽象的な概念は,実生活で役に立つ!? 【なぜ,数学を勉強するのか?】


今回の大学入学共通テストの記述問題をみても,日常生活に応用するために数学を勉強しているという雰囲気を感じて,また違和感を覚えました。
日常生活の場面設定の中で数学を用いる問題もいいですが,それ以外にも数学を勉強する意味があるんじゃないの?
ということで,これからの数学の問題についてどのようなものが考えられるか,を書いていきます。


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証明




数学で証明されたことは,いつでも正しく,今後ずっと使うことができます。


Aを証明するためには,Bを証明すればよい→Bを証明するためには,Cを証明すればよい→Cを証明するためには,Dを証明すればよい
ここで,Dが証明できたとします。
このとき,矢印を逆にたどってAが証明できます。


こういうことは抽象的な世界でしか起こりません。
現実世界では,「Dが証明できれば,Cがほぼ証明できる」くらいの精度になります。


例:犯行現場近くで不審な人物が目撃されていれば,それが犯人である可能性が高いが,違うかもしれない。


現実世界では抽象的な世界のように完全に証明できることはありませんが,「このように考えることができる」ということを知ることは重要です。
論理を積み上げること,論理に穴はないかと検証することは現実世界も抽象的な世界も同じです。
証明を細かく分解して,証明の流れを答えさせるような問題が,これからの問題として考えられます。


2次試験で出題される証明問題では,証明をすべて書く必要があるので,証明の流れももちろん考えます。
証明の流れだけを切り取ることは目新しいですが,証明自体はずっと出題されてきました。
数学を勉強すると論理的になれる,ということは昔から何となく認識されていたことです。


抽象的な世界を考えることは,現実世界でも役に立つ!
ということが広まればいいな~,と思う今日この頃です。




漏れなく,重複することなく数える




数学では『場合分け』と呼ばれる考え方で解く問題です。
これも数学の問題では抽象的な場面設定ですが,重要な考え方です。


現実世界では
・志望校合格のためには,何をするべきか
・商品をお客様に買っていただくために,どのような紹介をするべきか
ということを考えるとき,絶対にするべきこと,した方がいいこと,目標達成のジャマになるのでしない方がいいことを,試行錯誤しますよね。


これも抽象的な世界での練習が役に立ちます。
場合の数・確率(数学A)が代表的ですが,方程式の解なども「漏れなく,重複することなく」求めているかどうかを考えます。
現実世界では絶対的な答えがなく,人によって意見が分かれるので練習問題には適しませんね。


まずは,最低限するべきことを考えるのではないでしょうか。「漏れなく」の部分です。
・志望校合格なら,合格ラインの点数をとる
・商品を売るなら,まずお客様に知ってもらう


次は,どうやったら効率よくできるかを考えます。「重複することなく」の部分です。
・志望校合格なら,得意な教科で〇〇点とって,苦手な教科でもがんばって××点はとる!というような作戦を練る
・商品を売るなら,お客様が買いたくなるような伝え方をする


ここで重要なことは,「しなくてもよいことは,しない」ということです。
・場合の数なら,重複して数えてしまったら間違いになりますね。
・方程式の解なら,x=1,2が答えなら,x=1,2,1と書いてはいけません。


・志望校合格が目標なのに,苦手な教科にばかり力を入れて,苦手な教科はそんなに上がらず得意な教科の点数も落ちた,となれば最悪ですねorz
・商品を売るとき,お客様が興味のない性能を自慢しても「ウルサイ」と言われるだけで,買おうと思ってくれません。


数学の問題に対して,どのように考えたら「漏れなく,重複することなく」求められるかを答えさせるような問題が,これからの問題として考えられます。




計算を正確に行うことも重要




電卓や高度な計算機で答えを出せばいいんだから,人間が計算をする必要はない!
という意見を聞いたりします。
ここだけを切り取れば確かにそうですが,計算を正確に行うことにはもっと大きな意味があります。


決まった手順通りに行う,少しでも手順を間違えるとうまくいかないということは日常でもよくあります。
・パソコン,携帯電話で設定の手順を間違えたために,使いたい機能が使えなかったという経験が,一度はあるのではないでしょうか。
・人間関係でも,事前連絡をしなかった,伝える順番を間違えたなどで,相手の気分を害することがありますね^^;


四則演算,方程式の移項などの計算は,「手順通りに行う」ことを確認するのに最適な問題です。
1か所でもミスがあると,答えが合いません。
※たまに,2回マイナスをつけ忘れたため正解になった,などという奇跡的な場合があります(笑)


計算問題で正解をするということは,決まった手順で正しく行うことができるという確認になります。


※※※
たまに,数字アレルギーで「計算はできないけど,言われたことはきっちりする」という人もいますね^^;
こういう人たちにとっては,計算問題はシンドイですね。。。
嫌いな野菜みたいなものでしょうか。
無理強いするつもりはありませんし,計算問題の価値が下がるとも思いません。
ピーマンが嫌いな人はいるけど,ピーマンを食べると体に良いし,ピーマンの価値が下がるわけではない,という話と似ている気がします。
※※※


数学の問題から計算がなくなることはありませんが,「計算を正確に行うことに意味はない」という意見に対する,そんなことはないという主張でした。




検算




「検算」も,日常に役に立つ数学の考え方です。


例えば,方程式の解を求めると,もとの方程式にその解を代入することで検算できます。
逆にたどれる場合はこの方法が使えます。


日常では,「PDCAを回す」という言葉があちこちで用いられています。
計画し,行動し,結果を確認し,改善する
という一連の流れのことです。


「結果を確認する」ことが,数学の「検算」にあたります。
しっかりと結果を確認し,失敗すれば反省して次に生かすことができれば,成長につながります。
逆に同じ失敗を繰り返してしまう人は,一度しっかりと確認するとよいでしょう。
どこかに失敗するポイントが潜んでいるはずです。そこに気を付ければ同じ失敗をしないようになるでしょう。


問題の答えが出た後に,検算の方法を問う問題がこれからの問題として考えられます。


例:方程式なら解をもとの方程式に代入する,数列の一般項ならn=3などで確かめてみる,など


ダメージは大きいですが,検算をする最大のメリットは「間違いであることが確実にわかる」ことです。
時間制限のあるテスト中に,検算で間違いを発見し途方に暮れた経験がある人もいるのではないでしょうか。
検算する方法を問題すると,検算の習慣が身に付くかもしれません。




また,数学の問題で2通りの解法がある場合,両方の解法で解いた結果が同じだと,正解する確率は高まるでしょう。
厳密に言えば「検算」ではないかもしれませんが,これも日常に役に立つ考え方です。
2つの方法で解くことは一見無駄のようですが,1つの方法がダメだった場合の保険になる場合もあります。


いろいろな方法で問題にアプローチすること・アプローチできることは強みになります。
時間制限のあるテストではなかなか複数の解法を試す時間がないですが。。。


何事にも共通しますが,
・理論を勉強する
・実際に試す
ということを繰り返すことで,物事は上達します。


「他に方法はないだろうか?」と考えることは,新発見につながります。
現在の大ヒット商品を詳しく見てみると,これまであったものに少しだけ新しい要素を加えたというものがほとんどです。
これまで普通に使っていて特に不便を感じていないものでも,「もう少しよくできないか?」という視点で考えてみることが,大ヒットにつながります。


2つの方法で問題を解くことを指定すると,もはやいろいろな方法でアプローチしていることにはならないので,新しい傾向の問題にはなりにくいでしょう。
数学の役に立つ考え方ということで,いろいろな方法で解くメリットを紹介しました。




最後に




繰り返しになりますが,
「日常生活に応用できるから数学は役に立つ。勉強する必要がある。」
という論調は,言葉足らずではないかと常々感じていました。


抽象的な数学の考え方が,日常生活の役に立つことを今一度広くお伝えしたい!


それでは~


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