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高橋透著『文系人間のための「AI」論』を紹介します。

こんにちは。こんばんは。


本書の読みどころは次の2点です。
・ディープ・ラーニングの解説
・全く新しいテクノロジーとの向き合い方


タイトルからはあまり想像できませんでしたが,本書で初めてディープ・ラーニングの仕組みがつかめた気がします!
人工知能(AI)に関する本は数多くあり,数冊読みましたが,初めて理解できた気がします!
まずそこに感動しました!


ディープ・ラーニングはすごい!ブレークスルーだ!
というのはよく読みましたが,「結局,ディープ・ラーニングって,どんなの?」という疑問は解消できていませんでした。
本書を読み始めたときも,文系向けってことは分かりやすいって意味かな~くらいに考えていました。
正直,(大変失礼ですが)まさか本書で疑問が解消されるとは!
という思いを抱きました。


まず本書をおススメしたいポイントはそこです。
ディープ・ラーニングについてモヤモヤしたものを抱えている人は,ぜひご一読ください!



次に,哲学者である著者の本ですから,テクノロジーとの向き合い方や人間の進むべき道なんかも書かれています。
ここは,今の段階では読み物として楽しむ感じでよいと思います。
何年後かには,本書に書かれていることが実現されているかもしれませんが。。。


本書には,攻殻機動隊が何度も登場します。
とても面白いアニメです。また見返そうかな(笑)
人工知能が生活に溶け込んだ社会を,ものすごいリアリティで描写しています。
作者の先見の明がすごすぎる!



アマゾンのリンクはマンガですが,時間があるならレンタルなどしてDVDを観ることをおススメします。
私はアニメ→マンガと見たので特に支障はなかったのですが,動画を見ずにマンガを見てもよく分からないかもしれません。


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本の紹介




では,本書を紹介していきます。


第2章 ディープ・ラーニングの正体


まずはディープ・ラーニングから。
少し長いですが,次の引用をご覧ください。



まずは,人間の脳における視覚の働きについて確認しておこう。
脳科学の研究成果から,現在のところ,人間の視覚はおよそ次のような仕組みで成り立っていることが分かっている。


~(中略)~


まず外部の対象が視覚情報として眼球を通じて脳内に入る。
するとその対象の持つ,点,直線,曲線といった形に対して,それぞれ対応して反応する能力を持ったニューロンが反応する。
そして,これを層状に重ね合わせ組み合わせていき,最終的に当該対象の全体像を認識するのだ。
以上が,現段階で解明されている視覚の働きのごくごく大略だ。
ただし,まだわからない部分も多いという。


~(中略)~


ディープ・ラーニング内では入力層と出力層の間に複数の層があり,これらがそれぞれ対象の特徴量を抽出しているのだったが,たとえばそれら複数の層のうち最初のA層が,ネコという対象のヒゲの線を認識したとすると,それをもう一度元の猫の画像に再構成するようにさせるのである。
つまり,一つの層が画像から特徴量を抽出するたびに,その特徴量を元の画像に復元させるのだ。


~(中略)~


この作業を層ごとに繰り返していく。
こうすればたしかに元画像との一致はその都度確認され,最終の出力層の段階でも対象認識の正しさが担保できる。
そしてこうすることでディープ・ラーニングは中間層の増加に伴う困難を克服し,ネコを正しく認識できるようになったのだ。


髙橋透著『文系人間のための「AI」論』

詳しくは本書をご覧くださいm(_ _)m
「ディープ」・ラーニングの深さは,何層も何層も特徴量を抽出する層があることに由来します。
囲碁や将棋で人間を凌駕しつつあるのは,人間には気付かない特徴量を抽出しているからだそうです。


第5章 テクノロジーを哲学する


次は新しいテクノロジーとの向き合い方です。
本書にも同様の記述がありますが,テクノロジーを制御できるかどうかという問題は,プラトンの時代にすでに提起されていた(!)とのことです。
これは驚きではないでしょうか?2500年も前のことです。


そのテクノロジーとは,「文字」です。
次の引用をご覧ください。



プラトン(そして彼の師ソクラテス)は,テクノロジーとしての文字というテーマを,ヒエログリフを発明した古代エジプトに遡りつつ,その神たちに『パイドロス』で議論させている。
技術の神「テウト」は,自分が発明した文字を神々の王「タモス」に紹介し,文字によって「エジプト人たちの知恵はたかまり,もの覚えはよくなる」と進言する。
文字で書き留めることで,人間の知恵と記憶は向上するというのだ。


しかし,これを聞いた王タモスは,こう揶揄する。
曰く,そうなると人間は文字に依存するようになり,かえって忘れっぽくなり,記憶力は蔑ろにされるであろうし,また文字で書かれた内容を真に理解することなく振り回して,知恵の見せかけだけを吹聴することになるであろう,と。
文字は,テクノロジーの神テウトが喧伝するのとは「正反対の効能」しかないと,王タモスは批判するのだ。


テウトの言は時代遅れの戯言ではない。
テウトの提案は,記憶を文字という,人間の外部に委ねよう,というものだからだ。
これは,私たちがコンピュータ・テクノロジーを通じて求めてきたことと同じだ。
私たちは,テウトの提案と同様に,記憶を外部化してコンピュータの記憶に委ねようということを行ってきた。


~(中略)~


文字という,書かれた言葉の場合,書かれたテキストは書かれたテキストのままであり,それ以外を黙して語らず,それどころかそれを読む人の勝手な理解に委ねられて,転々と一人歩きをはじめてしまうというのである。
当該テキストの著者の意図は,文字にされることで,曲解されて,変質を被る危険がある。
書かれた言葉である文字は,それを書いた者から離れて,その者の意図を凌駕していくリスクがあると警告しているのだ。


書かれた言葉である文字が,それを書いた者から離れて,その者の意図を凌駕していくという,このリスクは,プラトンの当時から2500年を経た現在,私たちがAIテクノロジーを前にして抱き始めているリスクと驚くほど符合する。
そればかりか,構造的には全く同じものである。
AIテクノロジーが人間を凌駕するかもしれないという危惧は,著者の意図を凌駕するかもしれないとして,文字に対してプラトン・ソクラテスがかつて抱いていた危惧と同型のものなのである。


髙橋透著『文系人間のための「AI」論』



本書は,前半が技術的な話,後半が哲学的な話と大別できます。
後半では,AIは人間を凌駕し職を奪うと言われているが,それでも開発がやめられないのは人間がもっている性だ,という感じの話もあります。
本書からは,学ぶことがたくさんあります。
AIの関連本として,本当におススメです!


理系の人も,ぜひご覧ください(笑)
それでは~


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