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大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)【数学】の解説+感想

こんにちは。こんばんは。


先日公表された,平成29年11月実施「大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)【数学】」は,非常に興味深いテストでした。
所感を当ブログでもアップしております。
関連記事…大学入学共通テスト試行調査(プレテスト)【数学】について




解説+感想を書きます。




センター試験でも,毎年(数学的に)おもしろい問題・おもしろくない問題があります。
今回のプレテストはおもしろい問題,詳しい解説が読みたいなと思える問題が多かったので,今後の分析を兼ねて何題か解説を書いてみたいと思います。


……と思っていたら,「大学入試数学電子図書館」で共通テスト(試行)の数学Ⅰ・A,数学Ⅱ・Bの解答例が公開されていました!
さすがです!
やはりこのサイトは要チェックです!


私としましては,気になった次の2題について,解説+感想を述べてみたいと思います。
・数学Ⅰ・数学A第2問〔2〕(4)[セ]
・数学Ⅰ・数学A第3問(6)[ヌ]


問題紙面も合わせて掲載しておりますので,準備なしでお読みいただけます。
ご意見・ご感想をいただけましたら幸いでございます。


それでは,行ってみましょう~


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第2問 データの分析


まずは,問題文を掲載します。


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興味深い問題は[セ]なので,それまでの問題はサラッと見ていきたいと思います。


(1)[シ]…強い正の相関関係があることが見て取れるので,④の0.83
-1から1の間にない数値は排除できるのですが,ここにはそのような数値はありませんでしたね。


次は新テストから導入予定の記述問題です。


※※※
個人的な感想ですが,今回出題された記述問題はすべて知識・技能を確認するためのものでした。
自分の考えを述べるような問題なら,思考力・判断力・表現力が必要でしょうが,そうなると採点が大変になります。
今回のプレテストでは,「問題文が増えた!」ということは話題になりましたが,記述問題に関してはたいして話題になっていません。
それは,特別な対策が必要なわけではなく,普通の定期テスト対策のような勉強で攻略可能だからです。
それより,問題文がものすごく増えたので,大量の文章を速く・正確に読む練習が必要になりそうで,そちらの方がインパクトは大きかった印象です。
※※※


(2)の正答例を転記します。
《正答例1》各県を表す点のうち,その点と原点を通る直線の傾きが最も大きい点を選ぶ。
《正答例2》各県を表す点と原点を通る直線のうち,x軸とのなす角が最も大きい点を選ぶ。
《正答例3》各点と(0,0)を通る直線のうち,直線の上側に他の点がないような点を探す。
※「傾きが急」のように,数学の表現として正確でない記述は不可とする。


原点は,定めようと思えばどこにでも定められるので,軸の交点(0,0)を原点としてよいかどうかは気になりましたが,重箱の隅ですね^^;


(3)は,(2)でも考察したように消費額単価が最も高い県は(2)の直線上にある県なので,⑧


では,[セ]を見ていきましょう。
「問題文が増えた」といわれるプレテストの,象徴的な問題です。


この問題の何が興味深いかというと,正解を二つ選ぶためには散布図だけ見ればよく,箱ひげ図は見なくてもよいのです。
もちろん,これは結果論で,⓪~④の文章を1つ1つ読み込まなければいけませんが,箱ひげ図が正解に出てこないというのは,興味深いです。


⓪と①は観光客数と消費総額に関する文章ですので,箱ひげ図から正しいかどうか判断します。
普通の感覚だと,「どちらかが正解だろうな」と思ってしまうと思います。最初は私も思いました。
しかし,よく考えてみると,どちらも県内・県外をばらばらにした箱ひげ図なので,各県の観光客数,消費総額については分かりません。


例えば,①では県外からの消費総額が全体的に多いことはわかりますが,各県の県内からの観光客の消費総額と県外からの観光客の消費総額の組は分からないので,県内からが高く県外からが安いという組が半数以上ある可能性もあります。
このことから,⓪も①も正しくありません。
このように,箱ひげ図は⓪と①が正しくないという判断にのみ使われ,正解を選ぶためには使われないのです!
普通は正解を出すために計算をしたりして時間が掛かりますが,今回のプレテストでは正解ではないという判断をするために文章をしっかり読無必要があるために時間が掛かる問題がいくつかありました。
ここがこれまでの数学にはない,新しい要素ですね。
問題文の文章が増えただけでなく,1つ1つ正解か不正解かという判断もしなければいけなくなりました。


正解は,②と③で,これらは散布図から読み取れます。
目盛りをしっかり読み取ることがポイントで,②が正しいことや④が正しくないことが分かります。


第3問 場合の数・確率


問題文を掲載します。


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この問題も,[ヌ]を解くためにそれ以前の問題を解いておく必要がありますが,分量が多いので割愛させていただきますm(_ _)m
「大学入試数学電子図書館」さんの解説をご参照ください^^;


この問題のどこが興味深いかといえば,実生活の問題点を数学を利用して解決していますが,果たしてその方法はよいのか?と。
実は乱暴な解決法なんじゃないの?と思い,数学の問題というより社会の問題解決の仕方という点で興味深いと思いました。


問題の概要は以下の通りです。
・渋滞という表示を出せば,3分の1の運転手はその道を避ける
・なるべく主要道路を通ってほしいが1000台は超えないようにしたい


問題としては,⓪~③のうちから正しいものを選ぶもので,③のみがその条件を満たすため,正解は③です。


ここで注目したいのは,C→Dに渋滞の表示を出すことです。
C→Dだけを考えれば,渋滞の表示を出さなくても1000台を超えないのですが,D→Bを通過するとき必ずEから合流する車があります。
そのため,C→Dに渋滞の表示を出さなければ,D→Bで1000台を超えてしまうのです。


論理的な思考を働かせて,条件を満たす③を選ぶことになるのですが,ふと「C→Dに渋滞の表示を出すことはよいのか?」と思いました。
渋滞の表示を出さなければ880台で,表示を出せば560台になります。
本当にこの道は渋滞しているのでしょうか?


問題解決のため,数学を利用する1例なのでしょうが,このやり方はいいのかな~と思ってしまいます。
神の視点による操作のように思えて,実社会の問題解決としてはどうなのかな~と。


実際にはC→Dは渋滞していないにもかかわらず渋滞の表示を出したとき,この道を避けた運転手がC→Dが実は渋滞していなかったと知ればどう思うでしょうか?
条件を満たすための措置とはいえ,あまりいい方法とは思えません。
本当に渋滞しているのであれば問題ありませんが。


解決方法としては,通行料を調整して便利な道を通るのならそれなりに高い料金を支払うなどの方法も考えられます。
数学の問題としてではなく,実社会の問題解決方法として話し合ってみても面白いかもしれません。




最後に




いきなりですが,いつもお世話になっている「Wolfram Alpha」という海外の超有名サイトがあります。
ご存知の方も多いと思いますが,式を入力すれば答えが出力される,大変ありがたいサイトです。
結構複雑な計算にも対応していて,自作プリントの答え合わせで何度も利用させていただいております^^;


電卓の登場により,「四則計算を暗算・手計算で素早く・正確に行う力」は登場前より価値が下がりました。
暗算が得意だった人が威張れなくなった代わりに,誰でも正しい数値が算出できるようになりました。
電卓の登場は,暗算が得意だった人には少しマイナスかもしれませんが,社会全体ではプラスの出来事ですね。


Wolfram Alphaやそれに似たサービスによって,数学の問題が電卓に入力する要領で算出できるようになりました。
人工知能(AI)の発達により,数学に限らずコンピュータが問題解決を代行する機会は増えていくことでしょう。
例えば自動車の運転では,人間のドライバーより安全で,最適な道順・効率的な運転で時間とエネルギーを節約してくれることでしょう。


そんな社会を迎える時代において,人間はどのような能力を育てればより社会に役立てるか? より人生を楽しめるか?
このたびの大学入試改革は,このようなことを考える契機になりそうですね。


「計算量は減ったけど時間が掛かるのは変わらない」の正体は,「大学入試数学電子図書館」さんの解答例のコメントにもあるように,1つ1つの選択肢を吟味する必要が生じたからです。
適正な分量,記述問題にやや課題はあるかもしれませんが,これまでのセンターを変えるという判断は正しそうです。


結局何が言いたいかというと,
・大学入学共通テストは,みんな頑張って対策をする。
・その対策が,その後の人生にも役に立つものであればいいね。
ということです。


いい大学に入れる人,入れない人を選別するという制約あり難しいでしょうが,視野が広がるような,ワクワクするテストになってほしいと思います。


それでは~


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コメント

18年度のセンター試験を受けるものですが、傾向の変化に対応するために今回の新テストを自分で解きました。
解説を載せたサイトが無く困っておりましたので、非常に助かります。ありがとうございます。

Re: タイトルなし

「大学入試数学電子図書館」さんはありがたいですよね^^

18年度の入試ということは1年と1か月後のセンターですかね。
そのときの傾向にも多少影響はあるでしょうが,本格的に傾向が変わるのは2020年度(2021年1月)からですので,基本的には過去問演習が有効かと思います。

頑張ってください!

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